恐面 (カイメン) ルアーを追う

恐面 (カイメン) ルアーを追う
Photo by Susan Holt Simpson / Unsplash

恐面 (カイメン) という今は亡きインディーズのトップウォータールアーブランドがあり、昔から気になっていました。

先日その恐面のルアーをたまたまセカンドストリートで発見し、しかも値引きされていたので購入…!(ヤフオクにも一件あるのですが、ちょっと高い。)

恐面のルアーは上のように朝日をモチーフにしたカラーや、夜空や夕焼けといったカラーがあり大変良いです。風流!動きも良いみたいです (まだ投げに行けてない…)。

恐面との出会い

2002 年、自分が中学生の頃、バス釣り専門雑誌「バスワールド」で水面遊戯という連載がありました。これはその名の通り水面に浮くルアーしか使わない人たち、通称「トッパー」を取材する連載でした。

バスワールドを毎号買っていたわけではなかったので、自分が読んだ水面遊戯は 11 回目 (最終回) のみ。この回では埼玉県で「スクリーム」というトップウォーター専門店を営んでいた菊池良男さんの回で、いくつかピックアップされていた氏のおすすめルアーの中に恐面のルアー「バッズ」がありました。全部魅力的なルアーですが、明け方の空のような柄の「バッズ」が特に気になっていた記憶があります。これが恐面との出会い。

2000 年代初頭はトップウォーターのインディーズブランドが群雄割拠状態で、トップウォーターバブルのような状態だったようです (だったようです、というのは自分は当時からバス釣りをしていたもののこの手のハンドメイドルアーは数千円するので興味はあったが買えず、あまり詳しく調べることもなかったため)。

2023 年現在、この頃生まれた多くのインディーズのトップウォーターブランドはもう無くなっていると思います…。

ちなみにスクリームも今は無く、現在は接骨院になっているようです。雑誌の写真と見比べると、外壁や看板周辺に面影がありますね。兵どもが夢の跡。

当時のスクリーム。

スクリームのサイトも閉鎖済ですが、Wayback Machine からある程度見ることができます。スクリームオリジナルのバンブーロッドも制作されていたんですねぇ。オークションとかに流れてないかな…。

恐面を追う (現代編)

恐面、現在ではググっても全然情報が出てこない…。一番情報量が多いのは恐面のルアーについていくつかレビューされている、以下の記事か。星空のような美しいカラーを塗ることもあれば、少々…いやだいぶ…お下品なおふざけカラーも塗られていた模様。

くまのつりぐ
The bear’s fishing tackle
自分、このサイトのファンなんです。

他には、現在も更新されているサイトの古い記事の中に、恐面のビルダーである高橋さんとの釣行日記がありました。2002 年の記事。これによるとどうやら少なくとも 2002 年時点では、恐面のルアーはスクリームにしか卸していなかった模様。

TOPBOKAN�@TB���|�[�g
しばらくすると上流方面からボッコム&恐面艇が下ってきた。なんと恐面高橋さんが1本出した。ルアーを見せてもらうとなんとまぁスゲエきれいだ。埼玉のスクリームさんにしかないのが残念だ(確か入荷即完売してたような)。

ちなみに上記引用中のボッコムは現在も現役でルアーを制作されている!

その他は、オークションサイトで恐面のルアーがごく少数出品されていたり、中古釣具屋の入荷情報の中に恐面のルアーが含まれていたりする程度。

ということで 2023 年現在においては恐面がどういったブランドなのか、何種類のルアーをリリースされていたのか、等の情報は全くと言っていいほど無い状況…。

恐面を追う (過去編)

今ググっても見つからないなら、過去に行けばいいじゃない!ということで、恐面のサイトが当時なかったのか探してみます。現在見つかる情報からは恐面のサイトの URL などは見つからず。

そこで、上に挙げた Wayback Machine でアーカイブされているスクリームのサイトを開いて、サイト内に恐面のサイトか何かが無いか探してみます。当時であれば、自分の手作りサイトに「リンク集ページ」を作り、知り合いのサイトと「相互リンク」することが定番であった (インターネット老人会ネタだ…) ので、ある可能性は高い…。

果たして、ありました。この感じめっちゃ懐かしいですねw

リンク集から辿った恐面のサイトは以下!もちろん現在は閉鎖済なので Wayback Machine からでないと見れません。

とりあえず目立つ位置にあった「皆様にお知らせとお詫び」を開いてみると不穏なお知らせが。行方不明…!?ですが文面がふざけているのでおそらく本人のジョークでしょう…。その後サイトのデザインも変わってますし。ただこの辺りの時期からもう制作活動をやめてしまったのかな〜。

より新しい (スナップショットの新しい) 恐面のサイトは以下。Wayback Machine は時期を指定して見れるので、閉鎖前の一番新しい状態のサイトを見てみることにします。

2006 年 5 月 (私が高校一年生の頃…) までは少なくとも存在していたようですね。サイトを見ていくと日記的なものが中心のサイトだったのかな。見ていくとルアーの情報もちらほらある感じ。

これとか。エンマというルアーの紹介ページ。これはオークション履歴の画像で見たことあるな。エンマっていう名前だったのか。

これは仏舎利の紹介ページ。3 作目とのことなので、1 作目がバッズ、2 作目がデカイメン、かな?

カラー一覧のページ。画像が半分くらい消えてしまっているのが残念。夜明けや夕焼けといったモチーフのカラーが美しいですね。それだけに他のおふざけカラーとの落差がすごい…。自分の購入した仏舎利のカラーもありますね。このページ、これより後の期間のページには無いんですよね。なんで消しちゃったんだろう。更新が大変だった?

コラム中から抜粋。ロッドもあったんですね!

あ、忘れてた
スクリームさんの4周年記念に恐面ロッドを作りました
名前は「卒塔婆」と書いてストューパと読みます
お墓にある「塔婆・トバ」とも言いますね
サンスクリット語の当て字らしいです
「バッズ=マリファナの花穂の意」
「デカイメン=あ、これはただデカかったからか・・・」
「仏舎利=釈迦の遺骨」
「7(セブンス)ヘブン=巷で有名なド○ッグ」←そのうち出します
何だか排他的と言うか、アンダーグラウンドて言うか・・・

恐らく、セブンスヘブンは結局リリースされて無いんじゃないかな…?もしくはエンマという名前で出したのがこれ?

ということで一通りサイト内や各時期のサイトも見てみましたが、制作されたルアーの一覧といった、情報が一箇所にまとまったページは無いみたいですね。情報が散らばっていて探すのがきつい。コラムがいっぱい書いてあるのでそれは面白かったのですが、各ルアーに対する詳細があまりなかったのがちょっと残念。あと、サイトの時期を変えるたびコンテンツの内容や位置が変わりまくっていて、試行錯誤の跡が見て取れました…。

翻って、再度スクリームのサイトも覗いてみよう。

上述の雑誌に載っていた、「バッズ」の入荷情報発見。ハンドメイドルアーで 3800 円て、現在のインディーズのトップウォーターブランドからは考えられない低価格ですね…。

お、卒塔婆の入荷情報発見。恐面特有の、山と空を描いたロッド。欲しい。

上記リンク内に、今回私がセカンドストリートで購入した仏舎利のカラーの情報もありました!エイプリルフールの洒落カラー「オークションカラー」だそうです。

恐面まとめ

ビルダーは高橋誠司氏。実際にリリースされたルアーは恐らく 4 種類。

  • バッズ (ペンシルベイト)
  • デカイメン (ペンシルベイト)
  • 仏舎利 (ペンシルベイト)
  • セブンスヘブン 恐らくリリースされなかったか、エンマとしてリリースされたのか
  • エンマ (スイッシャー)

ロッドも制作されていた。スクリームにしか製品を卸していなかったらしい。

富士山や夕焼けといった景色が好き (ルアーのカラーもそうだし、コラムにもそう書いてあった)。

ということで一部ですがルアーの思想なども知れてよかった。個人的にはデカイメンの詳細読みたかったな。お尻の金属プレートの意味とか…。見つからなかったけどもっと探せばあるのかも。恐らく、保護のためとウェイトの意味もあったのではないかな…。最初はザウルスのヒップチャップみたいに音の要素があるのかと思ったけど、多分違う。あるとしたら、フックとの干渉音ですかね…。

手持ちの恐面ルアー、大事に使っていこうと思います。🎣

追記

その後早速フィールドで投げてみました!思ったよりスライド幅もあり、その場でネチネチもでき、重いので飛距離も出るしかなり使いやすかったです。ダブルフックなのでカバー近くでも使いやすい。

あまり見やすくは無いかもしれませんが、作成した動画内で使用しています。

気に入りましたのでこれからも見つけ次第回収しようと思います。

またまた追記

少し前に中古で購入した「トップウォータプラグ大全」に、恐面のプロトのルアーも含め複数掲載されていた!

のでデータとして記録しておきます。

バッズには II が予定されていた!?デカイメンを細身にしたような形状。
アイが複数ある。カテゴリとしてはペンシルベイトのようですが、こういう仕様なのかアイの位置を模索中だったのか。
ボディは仏舎利と同じ?カップのついたノイジータイプ。相変わらず綺麗な空模様。
これはヒヨコブランドのダンガンみたいに使うイメージだったのだろうか。名前的にもザーッと巻いてくるような印象。でも形状的にはターンが得意そうです。

恐面、結構色々なルアーを開発中だったようですね。しかし結局発売はされてなさそうなので、残念…。